FC2ブログ

フクロウ

一階の和室に鳥がいた。廊下から差し込むわずかな光しかない薄暗の中、畳のうえで縮こまっていた。人間の動作でいうなら体操座りという様子。あぁこんな愛くるしいのなら、恐らくこいつは鳩の仲間だろう。手のひらに乗せたカマボコをついばむその仕草を眺めながら俺は思う。窓でもあけて逃がすのが筋なのだろうが、もう少しこいつには家にいてほしい。戸を閉め、夢にみた鳥飼い生活の実現に胸を踊らす。

一応家族には「一階に鳥がいた」と伝えておく。そして俺が向かうは風呂場。和室を開けた覚えはないが、なぜかそこに昨日の鳥がいた。頭上から照らす、強いLEDの光に映るはデカイ目と広い顔面、そして地味な茶色ばね。あぁなるほど、こいつの正体はフクロウだったのか。近くにはそのミニチュア版がいた。親指サイズだが、やはりその目はえらくデカイ。

実は昨日のあの出会いから、まるまる一個のかまぼこをあげたことを悔やんでいたのだ。ポケットから取り出したパック詰めのかまぼこを半分にちぎり啄ませる。半透明のカマボコがみるみるみるみる小さくなっていく。そのとき、件のフクロウが語りかけてきた。悩みの相談。自分は100年しか生きておらず、人間の言葉が話せない。大学もでていないし――。それは大変だなぁとただただ目で訴えるしかない俺。言葉が通じない相手に対するやりづらさを若干に感じる。しかし君、こうしてテレパシーで訴えかけてくれてるじゃないか。覚醒している今なら突っ込めるのだが、夢の中の俺はただひたすら流される。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する