マンション

ロックを解き、自動ドアを抜けるとそこはコタツ部屋。四辺のうち一つを学ラン姿の男が埋めている。
黒い袖から伸びる腕は焼けた土色。同様の色をした顔には、腫れぼったい唇と目がよく馴染んでいた。
黒人の血が入っているなぁ――。しかし、口から飛び出たのはあまりに流暢すぎる関西弁。

こんなに笑ったのは久しぶりだなぁと、ご近所さんに恵まれた新生活に期待しながらエレベーターが降りてくるのを待っている。
入り口のコタツ部屋だけではない。右の方を向けば、そこは住居者だけの憩いの場。
木製のテーブルと、それを挟んで向かい合わせになれるように配置されたイス二つ。そのセットが壁に区切られながらいくつも並んでいて、それぞれが窓から射し込んだ陽によって光っていた。
朝、一人でコーヒーをすするにも結構。夜、親しくなった人を向かいに酒を嗜むのも結構。
そんな想像をしているうちに、エレベーターが来た。

下見をしていた筈なのになぁと牛の乳のように並んでいるボタンの前で自分の部屋がある階を思い出そうとしていて、悩んだ末に一番しっくりとくる13階を選んだところ、なんとそこは最上階。
結構な数の人間がそこにはいるらしく、エレベーターのドアが開くやいなや騒がしい声が聞こえてきた。特に、左右に分岐している通路のうちの右手側。そこには家族連れもいるらしく、聞こえる声の中には子供のものも混ざっていた。
向かうとそこは、おもちゃやアクセサリーなどを販売しているらしいショッピングコーナー。
壁や棚、辺り一面に商品が飾られている様子は大変にぎやかだが、溢れたものが床にも散らばっていて時々つんのめりそうになる。

実際、評判はかなり悪いらしい。歩くたびに頭のなかで口コミサイトの書き込みが読み上げられる。
そしてそれは、ショッピングコーナーの外れにあるフードコートでも変わらない。
「人相の悪い父親らしき男がフードコートに居座っていて入りづらい」
見ると、確かにそこには人相の悪い男がいて、飯を食らう我が子を恨めしそうな細い目で睨みつけていた。

通路の左手側にいくと、そこはカフェテリア。できたてのパンが売りらしく、仕切りも特にないオープンな様子の厨房の中でスタッフが忙しなく動き回っている。
その頑張りもあってか、客席はなかなか埋まっている。それは、壁としてフロアを囲んでいる超大型生け簀のおかげもあってだ。
悠々と泳ぐ群集の中でひときわ目立つ鯛の動きを、皆がみな目で追っている。

カフェテリアを尻目にさらに左の方へ進むと、だんだんと生け簀の中の魚はまばらになり、動きも鈍いやつが増えてくる。
心なしか、電灯や空調の効きも悪くなっているように感じられた。もちろん、俺の他に人の姿はない。
さらに道なりに進むと、はるか遠くにドアが佇んでいるのが見えた。遠近感のお手本みたいに小さく暗くなりながら。
ドアノブに手をかけ、こちらに寄せると、隙間から冷たい夜の風が流れてきた。そのまま勢いで全部引き寄せる。
大きく開けたドアの口からは、夜空が覗いていた。13階にしては星がたくさん見えている。
そのまま、屋上に出ようと思った。しかし、俺は、パンツ一丁なのだ。恥ずかしいなぁと思い、ドアを閉めてしまう。
スポンサーサイト

コメント

No title

久しぶりに夢日記読みたいよ;;

  • 2017/07/11 (Tue) 22:34
  • #-
  • URL
Re: No title

ガチャ運が悪くていい夢ひけないからちょっとまってて;;;

  • 2017/07/11 (Tue) 22:43
  • モンスタ #-
  • URL

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する