お茶さんの夢

やけに騒がしい寺だなぁと思って縁側の障子を開けると、暗い座敷の中で妙な集団が集会をひらいていた。
皆がみな頭を上げ、正面に取り付けられたスクリーンの光に目をやっている。そのスクリーンの邪魔にならない所には、ただ一人集団から離れてパソコンを操作しているリーダーらしき人影。
その影を見た瞬間、お茶さんだ、と思った。あいつスカイプのアイコンはあんなに可愛いのに――。
スクリーンに映し出されている画面は、過去に行われた集会の録画ビデオらしい。準備が整うまでの余興だろう。
しばらくそれを眺めていると、パソコンから顔をあげたお茶さんが集団の方に手で合図を送った。同時にスクリーンが暗転し、ジジジといった音と共に葬儀場の映像が映し出される。
遺影の目を通して見ているようなアングルの中で、喪服姿の男女が神妙な顔で正座していた。中には泣いている人もいて、懸命に嘆きの具合を座敷の中に響かせている。
そんな中、慎重に鍵をかけるようなキーボードを叩く音がした。その瞬間、スクリーンの中の神妙な顔が集会に参加している奴らの顔面に差し替わる。
どこかに仕掛けられたカメラ及びプログラムが、それぞれの顔の認識・切り抜き・合成を瞬時に行ったのだろう。
まいったなぁと思う。
こんな配信は考えつきもしなかったし、実現も一人では到底できない。遺影として嫌われ者の写真を挙げれば、盛り上がらないことはまずないだろう。
そんな風にボンヤリとお茶さんの手際に感心していると、集団の最後尾にいた杉村太蔵と目があった。
すっかり忘れていたが、俺は部外者なのだ。しかも、怪しげな集団の、だ。
つい口走った「いやぼくはカメラいいです」なんて馬鹿なセリフを自分で聞きながら、これから身に降りかかることの顛末を悟ってしまう。
そして、捕まった俺は、KBTITにムチでしばかれることとなる。
顔を庇おうとして被せた腕に走った痛みは、思ったよりも軽かった。しかし必死に痛がるフリをして、一刻も早くの開放を乞う。
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コメント

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  • 2017/06/14 (Wed) 12:41
  • #
Re: タイトルなし

お茶さんっ!?

  • 2017/06/14 (Wed) 19:32
  • モンスタ #-
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